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ナザルバイエフ大学マスタープラン

カザフスタン共和国の新首都・アスタナ市の中心から3kmほど南に立地し、世界に誇る先進的な大学を目指すこの大学のマスタープランでは、以下の7つを基本理念とした。

  • ○ 先進性と歴史・伝統の共生
  • ○ アスタナ市のグリーンネットワーク構築に寄与する豊かな緑
  • ○ カザフスタンの先進的都市開発を象徴するシンボリックな大学
  • ○ カザフスタンの多様な地形と植生を象徴する自然の大地の隠喩
  • ○ 洗練された施設や空間による心身ともに健全な大学
  • ○ 学生や教職員の交流を活性化する快適な空間の創出
  • ○ 環境配慮と省エネルギー

以上7つの基本理念に加えて、下記のデザインコンセプトに基づいた計画とした。

  1. 1. Main Axis
    敷地の東端に大学本部、西端に多目的講堂を配置し、これを結ぶ軸線をMain Axisとする。この軸は、ユーラシアの中心にあるカザフスタンが、西のヨーロッパと東のアジアを結ぶ地理的軸線上にあることを象徴するものである。

  2. 2. Sub Axis
    Main Axisに直行し南北に伸びるSub Axisに沿って、南側にはスポーツセンター、学生寮、教職員宿舎を、北側にはサイエンスゾーンを配置する。時間軸を暗示するこの軸線は、カザフスタンの歴史・文化を尊重し母国の未来の発展に貢献する学生を鼓舞するものとなる。また、Sub Axisに沿って設けられた空中歩廊(Sky Walk)は、極寒の冬でも各施設間を快適に繋ぐ主要な歩行者動線となる。

  3. 3. Eco- Forest
    敷地の南東から北西に広がる豊かな緑「エコ・フォレスト」は、厳しい冬の冷たい強風からアスタナ市を守るため市全体を取り囲むグリーン・ネットワークの形成に貢献する。

  4. 4. Techno- Forest (Urban Axis)
    敷地の南西から北東に伸び、アスタナの中心市街地を指し示すように設けられたアーバンアクシス(都市軸)は、地域・文化・技術・情報等の軸であり、軸線上に各種植物や自然資源を楽しめるアトリウムを設け、さらにこの軸の北端には象徴的なモニュメントを配置する。

  5. 5. カザフスタンの地形の表現
    西側の2つの公園では、広い芝生はステップ気候の大地、二つの丘は天山山脈など、カザフスタンの地形を表している。

  6. 6. メタボリックな拡張 (Metabolic Expansion)
    居住系施設および教育施設は、将来的増築を考慮し、細胞成長のようなシステマティックな増築が可能な配置がなされている。

* 2006 Chicago Athenaeum International Architecture Award
* 2008 第49回建築業協会賞(BCS賞)
* 2008 グッドデザイン賞

所在地

カザフスタン共和国アスタナ市

設計期間(マスタープラン)

2009年12月−2010年10月

設計監修期間(建築デザイン)

2012年3月−

施工期間

2012- 2020

業務範囲

キャンパスマスタープラン及びデザイン監修

敷地面積

106.2ha