チャールズ・アンド・マギー・ケズウィック・ジェンクス財団によるマギーズセンターは、がん患者と家族、またその友人など、がんの悩みを抱える人たちが無料で利用できる相談支援センターである。
施設運営費や工事費などは全て支援者からの寄付で賄われている。この財団は、癌患者に対し通院ベースによる家庭的な方法で、精神的なサポートを提供するため、同様のセンターを英国各地に造り続けている。

黒川は、古くからの友人である建築家チャールズ・ジェンクスの妻・マギーの熱心な活動に感銘し、この設計をボランティアで行なった。スワンジー湾を望む高台の木立に隣接して建つこの施設は、設計完了後2年以上かけての寄付金集めの努力を経て、2011年12月に無事オープンした。

デザインコンセプトについて黒川は、「地中から腕を振り回しながら現れた宇宙の渦を表している。」と語っている。強い生命力を象徴する「宇宙の渦」は、静かに佇むセンターを中心に両腕を広げ、その一方から来客を迎え入れ、もう一方の木・石・水などで構成された日本風の庭を持つ瞑想空間へと導く。

「マギーと私が共感した宇宙へのつながり、東西のつながり、この二つの主題がこのデザインの中にある。彼女もきっと気に入るだろう。」

黒川は、スケッチと共に、亡きマギーに寄せた詩を贈っている。
A life is a small universe.
A universe is a great life.
We can always communicate with a universe of great life.