2麻布ヒルズは、麻布台の緑豊かで閑静なエリアに位置し、夜には東京タワーを望むことができる。周辺には各国の大使館や歴史ある寺院が点在し、かつて東京天文台が置かれていた日本経緯度原点にも隣接する、文化的背景に恵まれた立地である。
本施設は、地下1階から3階をオフィスエリア、4・5階を住宅エリアとし、最上階には屋上庭園と茶室を備える構成とした。住宅エリアには、国内外から訪れる学生や社会人など多様なゲストの滞在を想定し、ゲストルームを設けている。茶室、書斎、リビングを通じて、訪問者をもてなすための空間を形成している。
外観は、打放しコンクリートの外皮に対し、斜めに切り取られたスリットに窓を設けることで、内外に動きのあるダイナミックな空間構成を実現している。最上階の茶室は屋上庭園に面し、日常から切り離されたもてなしの場として独立した空間であると同時に、外観意匠においても角度を振ったデザインによってアクセントとなっている。
ファサードには、鋭角に打放しコンクリートの角を出し、外壁に沿って折れたラインに「AZABU HILLS」のサインを配置した。このサインは、トンプー・グラフィックスの齋藤浩氏に依頼したものであり、アートとしての存在感を持ち、本施設の顔として機能している。