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大分メインスタジアム

メインスタジアムもサッカー、ラグビー等の球技以外に、公式競技用のトラックを持つスタジアムであり、更にコンサートや多様なイベントにもオールシーズン対応可能な可動屋根を持つというきわめて異例なスタジアムである。
本来のサッカー場では臨場感を大切にするため、競技スペースぎりぎりまで客席を近づけるのがよいとされている。陸上競技場としてのトラックを持つことは、この点で不利だが、サッカー試合の場合には、前面に移動式客席を設置することで、この問題を解決している。
デザインは、球面の1部が地上に現れている形態で、その緩やかな曲率がよく風景にマッチしたと思っている。球という形態の選択は勿論アブストラクトシンボリズムという主張によるものだが、実は、これによって、可動屋根が面に沿って動くことが可能となった。可動屋根には透過率25%の最先端のテフロン膜を使用しているので、昼間人工照明は不要である。
屋根開口部の楕円は、南北軸により芝生面への日照確保のために適合している。球面に対して、大梁アーチを架け、それと直行して小梁を平行に架けているのは、屋根開口部が楕円形であることに対応した経済的な構造となっている。
パイプのアーチ構造は、この種の大空間の架構としては、もっとも合理的で、敷地が広いことにより可能となった。座席と屋根の間には、通風のためのスリットがあり、夏の観客席の快適性が確保されていると同時に、座席から見るとこのスリットから周囲の山脈の風景が見え、屋内スタジアムの閉鎖性を全く感じさせない設計となっている。

所在地

大分県大分市松岡・横尾地区

設計・竣工

1996年‐2001年

主用途

スポーツ施設

建築面積

51,830m²

延床面積

92,882m²

構造・規模

鉄骨造,鉄筋コンクリート造
地下2階,地上3階