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さざなみホール(中主町農業の里総合センター)

本計画地は、日本の中央部、滋賀県に位置し、琵琶湖の南岸から約4kmの距離にある。周囲には肥沃な水田が広がる、のびやかな農村景観の中に立地している。
本施設は、主に音楽演奏を目的とした約500席のホールとコミュニティ機能を併せ持つ多目的複合施設であり、人口約1万人の中主町およびその周辺地域における文化拠点としての役割を担う。敷地は約2.2haと広大で、東側に駐車場、西側に諸施設を集約配置している。

敷地全体には豊かな植栽が施され、森のような環境が形成されている。これらの樹木は、かつての野洲川旧河道の河川敷から移植されたものである。かつて河原一帯には繁茂した森林が広がっていたが、現在は伐採が進み、その多くが農地へと転換されている。本計画においては、この失われゆく森林の記憶を保存するとともに、かつて日本の農村において神社を囲む環境を形成していた「鎮守の森」の概念を再生する意図が込められている。

建物配置は、日本の伝統建築である長屋門や伽藍構成を想起させる構成とし、正面には長い回廊状の前殿(ゲート空間)を設け、その奥に主空間となるホールを配置している。また、左右にはコミュニティセンターおよびヘルスセンターを配し、全体として明快な軸性と秩序を有する空間構成としている。

寺院建築における内庭に相当する空間として、前殿からホールへと至る過程において、幅約50mのせせらぎを設けている。この水景は、かつての野洲川の流れを象徴するとともに、琵琶湖の水面に広がる波紋を想起させるものである。この「さざなみ(波紋)」のイメージが、ホールの名称の由来となっている。

さらに、ホール舞台背面の反射板を開放すると、その奥に透明なガラススクリーンが現れ、遠景には地域の象徴的存在である美しい円錐形の小山が、水田の広がりの中に浮かび上がるように望まれる。この演出により、屋内空間でありながら、あたかも屋外で演奏しているかのような開放的な体験を創出している。

所在地

滋賀県野洲市

主用途

芸術文化施設

設計期間

1990年8月−1991年2月

施工期間

1991年4月−1992年7月

敷地面積

22,174m²

建築面積

3,175m²

延床面積

3,447m²

構造

RC造、鉄骨造

規模

地上2階