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プロジェクト
豊田市スタジアム







Toyota City Stadium

所在地    愛知県豊田市千石町
設計・竣工  1997年‐2001年
主用途    サッカー場
建築面積   40,734m²
延床面積   105,830m²
構造・規模  鉄骨造,鉄筋コンクリート造
       地下2階,地上3階



豊田スタジアムはそもそも2000年竣工した豊田大橋に隣接して市制50周年の記念事業として計画された。豊田大橋は、市の新しい歩道を中心とする線道の一部をなすもので、車道よりも歩道を広くとった歩行者優先の橋であるばかりか、河川敷へ降りる可動式階段を持つなど親水型の先進的な橋である。 又、豊田スタジアムでのサッカーやイベントの開催時には、大勢の観客がこの橋の歩道を通って直接スタジアムの広場にアクセスできるように計画されている。
当初はWカップ日本単独での開催をめざし、豊田スタジアムも15都市の1つに選ばれていたので、準決勝大会を目指して収容6万人で計画された。その後、日韓共同開催になって、その会場が10都市にしぼられたとき、第3の人口集積地であるにも拘らず愛知県(豊田市)は選からもれてしまった。
そのため既に進行していた設計を基本から見直し、収容人員を45,000人と縮小して設計が進められた。 又、運営上より多目的に使用できるように、可動式の屋根をつけることが新しい設計条件として加わった。

屋根の形状は生きた芝生の競技面に太陽の自然光を当てるためと、メインスタンドの客席を可動屋根の開放時にも100%覆うことという豊田市の要望とのトレードオフの末、決定されたものである。 そりのついた日本の伝統的な屋根にも見える両側の吊屋根の間は平面では平行直線でなくてはならなかった。何故なら、そのレールの上を空気枕方式の軽量屋根が扇子が折りたたまるように動いて開閉されるからである。
豊田スタジアムでは専用の球技場なので、サッカーフィールドの外側に陸上のトラックをもつ大分スタジアムと異なり、フィールドに近く、限界までぎりぎりの勾配で座席がせまっており、世界でも有数の臨場感のあるサッカースタジアムとなっている。
構造は全体の軽量化のため、純鉄骨造で、プレキャストコンクリートでカバーしている。
構造のコンセプトは、大分と同様、私の提案によるものだが、地震、台風における構造全体、特に屋根の変位をコントロールし、更に移動式の屋根をつけるためにARUPのもつ優れた技術的フォローがなければ、このような複雑な構造は実現しなかっただろう。