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2007年東京都知事選挙マニフェスト (第三次)
2007年3月9日
黒川紀章
私、黒川紀章は、どの政党からも推薦も支持も受けず、都知事選挙へ立候補し、次のマニフェストを公約とします。


1) 自ら財政再建の一端を担います。都知事としての給与は無給(1円)とし、官舎(公舎)、公用車は使用しません。又、週4日都庁で執務する。(都職員と同様の年平均)


2) 財政再建を積極的に推進し、その内容を情報公開する。

   a.都の新銀行東京を民間に売却

   b.都庁舎、国際フォーラム、東京江戸博物館を民間に売却(条件は現状の外観を保存し、将来文化財として歴史に残すこと)することによって、資産の有効利用を進めます。

   c.東京都が持っている巨大な不良債権をすべて洗い出し、情報公開します。
平成19年度の東京都の予算案の概要(平成19年1月)によると「隠れ借金」の大半を占める減債基金積立不足については、平成19年度末までに全額解消する見込みとなっている。
しかし、これは、本来積立るべき基金を積立てることができなかったことがやっと解消したというだけのことであり、都の第三セクターや外郭団体のもつ不良債権(隠れ借金)については、情報公開されていない。
予算案概要の33頁に「監理団体の改革」という項目があり、そこでは、東京臨海熱供給(株)、(株)ゆりかもめ、(株)東京テレポートセンター、(株)東京ビッグサイト、(財)東京港埠頭公社等の都の第三セクターが抱え込んでいる莫大な「隠れ借金」のことに全く触れていない。
東京都は、持株会社としての(株)東京臨海ホールディングスを設立し、その支配下に、これらのすべての第三セクターを子会社化することによって、莫大な「隠れ借金」の情報を隠している。
宮城県も福祉や情報公開といった浅野知事によるパフォーマンスは多いが、実は、知事の在任期間に借金は2倍に増え、第三セクターや外郭団体の持つ「隠れ借金」の情報公開はない。
私は、これらの莫大な「隠れ借金」の詳細を情報公開する。

   d.10年後の東京の姿を展望しながら、バランスよく財源を配分したと位置づけているが、実態は、その配分率について平成18年度予算と比較してみると、交通渋滞対策費、魅力ある拠点の形成費、都市交通整備費、農林水産業の振興費、都立高校改革の推進、芸術・文化の振興費、ディーゼル車対策の推進費、自然環境の保護の回復のための取組費が、いずれも後退している。
そして大幅な配分率の増加になっているのは、2016年夏のオリンピックの招致に向けた取組の9億円増、カーボンマイナス東京10年プロジェクトの21億円増、都立高校の冷房化41億円増しかない。
オリンピックの財源については、最終的な都の負担費は466億円とされている。
このことからわかるように、平成19年の予算概要からみると、石原都政は、東京の本来やるべき街づくり、芸術文化の振興、CO2対策、自然環境の保護のいずれについても後退している。
福祉政策についても、すべて平成18年度とほぼ横ばいの配分率となっており、結果としてオリンピックのために、福祉や本来の街づくりが切り捨てられていることは明らかである。
この点を改め、東京の福祉や、街づくり、環境対策に取り組むためには、オリンピックの中止しかないと断言できる。
又、石原都知事は、新しく減税の方針を発表したが、オリンピックの基盤整備に新たにかかる都民の負担と、その事業に交付される国の補助金を計算すれば、結局のところ減税どころか、都民と全国民にとっては増税となる。



3)首都機能の一部を移転する。
国では、東京の一極集中を是正して、地方との共生を計るために首都機能の一部移転を検討しているが、石原都知事は就任以来、首都機能の移転に反対している。
これでは、東京の一極集中化はますます進行し、東京の土地の値上がりによるバブル経済がより進行し、都市の生活、福祉は破壊的なダメージを受け、格差も拡大している。
このような東京一極集中による金儲け主義(市場経済中心主義)から脱却するため、私は首都機能の一部移転を積極的に進める。



4) 東京の街づくり目標。

    a. ウォーターフロント生態系の再生
東京湾ウォーターフロントの生態系を再生するとともに、都内の緑化をすすめ、都市内生態回廊の形成を計る。

    b. 築地・月島の下町の生活と伝統を守るため、築地市場移転を中止します。

    c. 景観自立地区と景観軸
東京都を少なくとも300の特色のある景観自立地区として計画し、歩道や河川(運河)を中心とした景観軸を計画する。

    d. 文化資産の保存 
明治までの歴史的な建造物をできるだけ保存する努力をすると同時に、近代・現代建築の重要な文化資産の保存に努力する。

    e. 東京をコンパクトシティへ
地球上の人口増による都市の拡大と耕地面積増は、森の破壊の主要な要因となっている。人類の生存をかけて、都市をコンパクトに計画し、森(自然)の消失を防ぐことが急務である。

    f. 硫黄島で玉砕した兵士の遺骨の収集、平和記念碑の建立に力をいれる。硫黄島は東京都であるにも拘らず、これまで石原都知事は、映画をつくるなどはしても、硫黄島に対し、本来すべきことに取り組んでこなかった。
私は硫黄島を不戦平和の象徴的な島とする。



6)都市外交を積極的に推進する。
現在世界は国家間外交の時代から都市間外交の時代へと大きく転換している。
石原都知事の外交政策と異なり、私は日米関係を重視し、そして中露と日本とのCRJトライアングルを重視する。
又、日米間の同盟関係をより強化するために、日米間の都市交流を積極的に推進する。
又、日本をヨーロッパ、中央アジア、アジア中近東の地理的中心に位置づけ、21世紀にふさわしい新しい時代の空のシルクロード“アジアンエアウェイ”構想を推進する。
具体的には、北はロンドンからサンクトペテルブルグ、北京、東京、シンガポール(マレーシア)、ドバイ間に‘アジアンエアウェイアライアンス’と名づけた航空会社のアライアンスをつくり、ブリティッシュエアウェイ½Þ、全日空、シンガポールエアラインを中心として、アジアンエアウェイシャトル空路をつくる。空路の開設には二国間の航空協定を必要とするので、各都市間外交を地ならしとして外務省、国交省を支援する。
外交政策で日中間の経済文化交流を推進するため、東京、北京、大阪、上海の四都市連合(4 Cities Links)を提唱したい。
現在、成田―北京、成田―上海、羽田―大阪の空路は充実しているが、北京―上海、北京―大阪、上海―大阪の都市間交通は不十分である。
そこで、空路による北京―大阪、上海―大阪便を増便し、羽田―北京、羽田―上海という新しい航路を開設する。又、北京―上海間の新幹線構想を支援する。
この都市連合により関西は急速に活性化し、関東と関西が両輪となる新しい国土未来像に道を開く。
首都空港構想は石原路線を引き継ぎ、羽田空港の国際空港化、横田空港の軍民共用化を進める。
日韓の観光の相互充実のために、羽田―長崎(福岡)−釜山の観光空路を開設する。
長崎県壱岐市は、陸のシルクロードに続く海のシルクロードの終着港であり、倭の国の王都であった。
今、壱岐で発掘されている弥生時代の環濠集落(国指定の重要史跡)がその王都である。
陸のシルクロード、海のシルクロードは空のシルクロードにつながる。



7) 教育・研究拠点としての東京をつくる

    a.首都大学東京を、国際東京大学と改名する。四都市連合による都市経済の活性化を計るため四都市の大学(北京大学、国際東京大学、同済大学、大阪大学)の提携を促進し、各大学に四都市の大学のサテライトキャンパスをつくる。

    b.この四都市大学連携は国際的なレベルでのアントレナーシップ(起業家精神)を生み出し、国際的な産学共同プロジェクトが実施できる教育・研究基盤となる。

    c.国際東京大学での講義の1/2を英語とし、世界の優秀な学生を集める。又、教職員の給与を改善する。



8) センターコア放射状の都市から環状都市へ
現在の東京は都市づくりビジョン(東京都平成13年10月)に提案されているような環状メガロポリスではなくて、センターコアと放射道路によって構成された放射状メガロポリスである。首都機能の移転により、センターコアにある霞ヶ関官庁街の一部を緑化、公園化することにより、はじめて非中心的な環状都市が実現できる。


9) 区を市に昇格する
東京都を未来型の多核型都市に改革するために、区を市に昇格させ権限と財源を擁護する。これにより、東京は地方への分權化を先導し、個性的な小都市の集合という、最先端の大都市へと改革できる。



10) 石原知事や浅野前知事のような側近政治ではなく、議会民主主義を重視し、都の官僚のプロデューサー能力やシンクタンク能力を引き出して、都政を積極的に運営する。(官僚を労働人口ではなく人材と考える)



11) 将来の東京のため、シュリンキング(縮小)政策に基づく福祉医療政策を積極的に推進する
東京都の人口は、2010年で1226万人とピークとなり、減少に転じ、2025年までに50万人の人口減となる。東京都も将来の人口減、少子化、老齢化の時代を迎える。
これに対する政策は、

   a.シュリンキングポリシー(縮小を逆手にとった積極政策)

   b.昼間人口と夜間人口(流入人口)を合わせて考える



12) シュリンキングポリシーにもとづき新しい福祉政策をつくる(これには、都資産の有効利用、オリンピック費用を当てる)

   a.国、都の大型福祉、医療施設、公共的サービスに代わって、各区にコミュニティの自助、相互扶助をベースにした福祉、医療施設をつくる。
例えば、活性化の失われている地域、商店街の中に小型の福祉、医療施設をつくる。

   c.芸術、文化施設についても大型公共施設だけではなく、各区の商店街に集会場、ボランティアセンター、障害者支援センター、寄せ(高座)、多目的スタジオ(演劇、ダンス、映画、アートなどの)をつくり、芸術文化による商店街の活性化に挑戦する。

   d.これまでの大型医療施設や高度先端医学研究所とは別に、各区のコミュニティに密着した心のこもった小型の健康相談、長寿センター、検診センター、介護センター、ホスピスをつくる。



13) 東京を世界都市にする
24時間活動する世界都市・東京は、インターネットの時代、国際的金融の時代、ボーダレスな企業活動の時代になると時差を超越し、24時間都市となり、東京を含めた大都市がリアルタイムコミュニケーションで結ばれる世界都市になる。東京をこのような新しい情報発信のセンターとしての世界都市として構築する必要がある。


14) 文化と経済の共生
既に米英の産業構造はこれまでの産業構造から大きく転換し、今GDPを引っ張っているのは創造性産業(Creative Industry)と芸術・文化・技術革新に従っている創造階級(Creative Class)の人材である。
安倍内閣の提唱する、労働生産性、資本生産性、技術革新ばかりではなく、芸術文化の創造性こそが経済発展の鍵となる。文化と経済の共生が必要な由縁である。
東京の街づくりは、そして日本はこのような芸術・文化への積極的な施策があってこそサステナブルな経済の発展が続く。



15)  東京都の防災計画については、私が中心となってつくった計画(1987年)があります。(資料/東京改造計画の緊急提言)



16)  一級建築事士事務所の開始を許可制とする。
姉歯事件(構造計算偽装事件)を重く捉えて、東京都においては、一級建築士事務所は登録制ではなく許可制とする。
これまでは、一級建築士という国家試験の資格を持っていれば、都ではほぼ無審査で、一級建築士事務所登録ができた。しかし、医師国家試験資格や、自動車運転免許だけでは、人の命をあずかる病院やタクシー会社の営業はできない。
そこで、人との命にかかわる建築設計の事務所開始には、厳重な審査による許可制とする。



17) 街の文化財保存に助成。
重要文化財クラス(建設後35年以上を経過したもの)の建築については、現代建築も含めて、その保存について助成する。



18) 確認申請時に緑化を義務付ける。
確認申請時に、敷地内での最低緑化率(地区によって比率は異なる)を決める。



19) 憲法については、国会における改正を凍結。今後まず国民の幅広い憲法論議を盛りたてる。
以上










マニフェストに関連する参考文献

「都市デザイン」紀伊国屋書店 黒川紀章 著1965年
「ホモーモーベンス」中央公論 黒川紀章 著1989年
「都市学入門」祥伝社     黒川紀章 著1973年
「共生の思想」徳間書店    黒川紀章 著1987年
「黒川マニフェスト」Berlin、Jovis 社 黒川紀章 著2005年
「都市革命」中央公論新社   黒川紀章 著2006年
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